くさい。でも、それが宝だった。

畑に小型トラクターの音が響く朝。
エンジン音と一緒に、鼻を突くのは…豚フンの匂い。

うわ、くさい。
正直そう思ったけれど、先輩農家さんが笑って言った。

「それ、めちゃくちゃいい肥料だぞ」

そうか。
この匂いの向こうに、実りがあるんだ。
栄養になるってことは、命になるってこと。

土の上には何もないように見えて、
その下ではたくさんの命が巡ってる。

作物を育てるって、こういうことなんだ。
いい匂いばかりじゃない。
だけど、それが「生きてる」ってことなんだ。

農業は、五感を全部使う営み。
そして、くさい匂いさえも、喜びに変えていく。

この土から、何が育つか楽しみだ。